財団医療法人 中村病院

財団医療法人 中村病院 基本理念
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  • 脱腸とは?
    脱腸は、鼠径ヘルニアという病気で、足の付け根まわりの内臓を支える筋肉に隙間があるために、 支えを失った内臓が皮膚の下に脱出するもので、腸が脱出することが多いことから脱腸と呼ばれています。
    脱腸カット
  • 症状は?
    初期には、立ったときなどに足の付根が柔らかく膨らむだけで、痛くも痒くも無いものです。 しかしこれを放置しておくと、時に突然膨らみが固くなり、強い痛みや吐き気などの症状が出ることがあります。 この状況は"嵌頓(かんとん)"といい、筋肉の隙間から飛び出した内臓が皮膚の下で強く圧迫された状況で、 そのままだと圧迫された内臓が腐り腹膜炎を起こす事になります。
  • 治療は?
    子供と大人ではその発症理由に違いがありますが、大人の場合は基本的に自然治癒が期待できない上に、 小児の場合でも自然治癒の可能性は非常に低く、様子を見ている間に"嵌頓"を起こす危険性があることから、 原則的に発見されれば手術が必要です。手術をせずに経過を見る選択もありますが、 その場合は2年以内に嵌頓する危険性が1%程度あり、緊急の対応を含めた慎重な観察が必要であるほか、 実際には経過中の症状の悪化などから、70%の患者さんが手術を実施することになっていると報告されています。
  • どんな手術なの?
    鼠径ヘルニアの手術は非常に多い手術であり、国内だけでも年間12万件以上の手術が行われています。 様々な手術方法がありますが、大きく分けて、足の付根を切開する鼠径部切開法とカメラをお腹に差し込んで 行う腹腔鏡手術があり、両方を組み合わせた方法(ハイブリッド法)もあります。
    腹腔鏡手術の様子
    鼠径部切開法は以前から行われてきた方法で、人工膜を用いるようになってからは再発率も低くなり、今日でも標準とされる優れた方法です。 ただし、傷がやや大きいことから術後の痛みがやや強く、退院後も軽い痛みや違和感が一定期間残ることが多いため、 時に仕事などの社会生活に影響することもあることが欠点としてあります。 その欠点を補う方法が近年普及した腹腔鏡手術で、5〜10ミリの傷数か所で手術を行うために術後の痛みも軽くすみ、 趣味や仕事への復帰が早く影響も少ないことが利点です。ただし、全身麻酔を要することなどから、 医学的な一定の身体条件をクリアする必要があります。
  • 当院で実施している治療法
    当院では世界標準である最新のガイドライン(International Guidelines for Groin Hernia Management. The Hernia Surge Group, 2018)、 および日本ヘルニア学会の鼠径部ヘルニア診療ガイドラインの方針に準拠した治療を行っており、鼠径部切開法と腹腔鏡手術の両方が可能です。
    特に当院の特徴としては、
    • ① 成人の鼠径部切開法では、一般に下半身麻酔で実施する施設が多いですが、 この麻酔法は高齢者では脳卒中や心臓発作のリスクが高くなることや、 極めて稀ですが重篤な麻酔事故も起きることが知られています。
       当院では、重い持病のある人や体力のない高齢者でも安全に手術が可能な、 局所(膨潤)麻酔での手術を基本としており、実際に近年の当院での鼠径部切開法での手術症例では、 ほぼ全例が局所麻酔で実施されています。
    • ② 成人の鼠径部切開法では人工膜(メッシュ)を用いる方法が基本ですが、状況に応じて人工膜を使用しない方法も実施しているほか、 人工膜を使用する方法では、現在はリヒテンシュタイン法を基本としています。
      この方法は国内ではまだあまり普及していませんが、最新の世界標準のガイドラインではその成績などから最も推奨されている方法で、 今後の主流となると考えられている方法です。
    • ③ 成人の腹腔鏡手術には、内臓を観察しながら実施する方法と、内臓に触れることなく実施する方法の2通りの方法があり、 それぞれ一長一短があります。当院では、2014年から腹腔鏡手術を開始しており、現在はヘルニアの状況に応じて2種類の異なった方式を使い分けることで、 確実かつトラブルの少ない治療が行えるようにしています。
    • ④ 鼠径部切開法や腹腔鏡手術それぞれ単独での治療が困難な症例では、 より確実な修復を行うためにハイブリッド法での対応が可能です。
    • ⑤ お子さんのヘルニアに関しては、当院では原則的に小学校入学以降のお子さんに対応できます。
       なお、小児や若年女性のヘルニアでは基本となる鼠径部切開法のほかに、一部の症例には傷が目立たない腹腔鏡での手術も行っており、 その際には身体の成長や出産に影響が出ない方法を実施しています。
    以上のように、当院ではヘルニアの病状のみならず、全身状態や持病・過去の治療歴のほか、 日頃の生活環境や将来のことも加味して最適と考えられる治療法を提案し、その上で患者さんの希望も聞いた上で治療法を決定しています。 このように、テーラーメイドで治療法を選択して提供することが良いことは専門家の間では知られていることで、ガイドラインにも示されていますが、 実際に各種の手術を症例ごとに選択して提供できる施設は県内でも一部に限られています。